シリコンバレー企業成功の秘訣 会社と個人の新しい関係「アライアンス」とは?

こんにちは、TWDW事務局運営メンバーのやつづかです。

ALLIANCE(アライアンス) 人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』という本をご存知でしょうか。昨年アメリカで出版され、今年7月に日本語版が出ています。

著者はPayPpalの創業に関わり、LinkedIinを立ち上げたリード・ホフマンなど、シリコンバレーで活躍する3人の起業家。彼らは自らの経験から、シリコンバレーの経済成長の源は企業と社員との「アライアンス関係」にあり、シリコンバレー以外の企業もその手法を取り入れるべきであると説いています。

私は普段、フリーランサーとして様々な企業の方と一緒に仕事をしたり、ワークスタイルをテーマにインタビューをしたりしています。そんな中、ここ東京でも『アライアンス』に書かれているような変化の兆しが感じられ、読んでいて「うんうん、確かに!」と共感する点がたくさんありました。

今回は、まだ読んでいない方のために、「アライアンス」とは何か? ざっくり理解するためのポイントを解説します。



「アライアンス」が生まれた歴史的背景

日本の雇用関係の特殊性は、「終身雇用」と「年功序列」の慣行によるものだとよく言われます。

でも、実はアメリカでも終戦後、他国に比べてアメリカが圧倒的に強かったある時期までは、終身雇用が一般的でした。

それが変わったのは、高度成長期の日本などとの厳しい国際競争にさらされるようになった時代。「今までのやり方ではやっていけない」ということで、アメリカの企業は超資本主義的な考え方に転換し、利益を上げるために事業も人もどんどんリストラするようになったのです。

いつクビになるか分からないとなれば、社員の方も会社に忠誠心を持つことは難しくなります。良い条件を提示されればいつでも転職する、そんなスタイルが一般的になり、個人として企業と取引関係を結んで働く「フリーエージェント」という考え方がもてはやされるようになりました。

表面的には、互いに長く続く関係を目指しているように振る舞いながら、本音では「今の関係は単なる『取引』。いつ終わってもおかしくない」と考えている、それが「アライアンス」以前のアメリカの企業と個人の関係なのです。

しかし時代はさらに進み、人や事業を次々と使い捨てて短期的な利益を追うだけの企業は生き残れなくなっています。『アライアンス』では、長期的視点で明日のチャンスと技術に投資しない企業は「すでに死に向かっている」と書かれています。未来に向かって成長していくためには、企業にコミットしてくれる人材が不可欠。そこで出てくるのが、雇用を「取引」ではなく「関係」としてとらえる「アライアンス」という考え方なのです。



「アライアンス」とは、企業と社員の相互信頼・相互投資・相互利益のための関係

「アライアンス」の特徴のひとつは、「社員になる=会社と無期限の関係を結ぶ」という建前を捨て、会社と社員が、ある目標とそれを達成する期限を合意して仕事をするところにあります。その目標は「社員が会社に貢献する」という一方的なものではなく、「会社が社員にキャリアアップの機会を提供する」という意味も持つ、相互投資・相互利益的なものであることも「アライアンス」の特徴です。

合意した期間において目標を達成するために行動することで、会社と社員は信頼関係を築きます。この期間の後に関係は終わるかもしれませんが、お互いが良いと思えば、また次の期限と目標を決めて関係を続けていく。終身雇用の考え方と比べるとかなりドライですが、いつ別れを切り出されるか分からずお互いに戦々恐々としている状況と比べると、正直で協力的な関係が「アライアンス」なのです。

また、うまくアライアンス関係を結べた場合、たとえ辞めても企業と個人の良い関係は続く、と考えるのも「アライアンス」の特徴です。会社が好調なら「卒業生」たちの評価も高まり、「卒業生」たちが別の場所で成功を収めれば、会社は彼らのネットワークを通じて様々な恩恵を受けられるというわけです。

日本ではどうなる? 「人と企業の良い関係」

以上、本当に基本的な考え方だけですが、「アライアンス」についてご紹介しました。書籍『アライアンス』では、上記のような新しい雇用関係を実践していくための具体的な手法や実例が分かりやすく紹介されています。興味を持たれた方は、ぜひ読んでみてください。

TWDW2015では11月23日に、本書の監訳を担当された東京糸井重里事務所の篠田真貴子さんが登場されます。日本版アライアンスの実践企業であるリクルートグループにて人事マネジャーを務めた佐藤雄佑さん、世界中の様々な「人材採用」のあり方について研究を重ねてこられた株式会社コヨーテの菊池龍之さんと一緒に会場の皆さんも交え、「日本において“人と企業のよい関係”をつくっていくには、どうすればよいのか」をテーマにディスカッションする予定です。ぜひ、自分たちの働き方を変えていく機会にしましょう!


<チケットはこちらから>

11月23日(月・祝日)14:45-16:15

「人と企業」の新しい関係について話そう!


TWDW開幕までのデイリーレポート

国内最大級の働き方の祭典「TOKYO WORK DESIGN WEEK 2015」が 11/18-24の7日間。開催までに登壇者の紹介や、TWDWスタッフが働き方トリビアをお届けします。

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